2011 年 6 巻 1 号 p. 313-315
骨盤内腫瘍増大による神経障害性疼痛に対し従来の薬物療法では十分な除痛が得られず, エコーガイド下坐骨神経ブロックで良好な鎮痛が得られた症例を経験したので報告する. 【症例】60歳代, 男性. 骨盤内腫瘍による神経圧迫が原因の痛みに対しフェンタニル貼付剤10.5mg, ガバペンチン1,600mg/日, エトドラク400mg/日, アミトリプチリン30mg/日まで増量したが, 眠気が増加するのみで十分な鎮痛効果が得られなかった. エコーガイドで坐骨神経に0.1%ロピバカイン5ml/時で持続投与することで痛みが軽減し, フェンタニル貼付剤8.4mg, ガバペンチン800mg/日, アミトリプチリン10mg/日まで減量が可能となり, 眠気も軽減することができた. 従来の末梢神経ブロックと異なりエコーを使用することで安全かつ確実に鎮痛が得られるため, 全身状態が悪い状況であっても神経ブロックの選択が可能となる. Palliat Care Res 2011; 6(1): 313-315