食品衛生学雑誌
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調査・資料
ポリエチレンテレフタレート製器具・容器包装におけるアンチモンおよびゲルマニウム溶出試験の試験室間共同試験
村上 亮六鹿 元雄阿部 孝阿部 裕大坂 郁恵大野 春香大野 浩之大野 雄一郎尾崎 麻子柿原 芳輝河崎 裕美小林 尚柴田 博城野 克広関戸 晴子薗部 博則高坂 典子但馬 吉保田中 葵田中 秀幸野村 千枝羽石 奈穂子疋田 晃典三浦 俊彦渡辺 一成穐山 浩
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2015 年 56 巻 2 号 p. 57-67

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抄録

ポリエチレンテレフタレート製器具・容器包装のアンチモン(Sb)およびゲルマニウム(Ge)溶出試験における各測定法の性能を評価するため,試験室間共同試験を行った.当試験には18機関が参加し,濃度非明示の3検体(各2測定)について電気加熱方式原子吸光光度法(GF-AAS),誘導結合プラズマ発光強度測定法(ICP-OES)および誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)によりSbおよびGeの定量を行った.その結果,GF-AASおよびICP-OESでは,真度が98~107%,併行精度(RSDr)が1.7~7.5%,室間再現精度(RSDr)が2.0~18.8%であり,これらの性能は規格試験法として十分であった.また,ICP-MSでは,真度が99~106%,RSDrが0.7~2.2%,RSDrが2.2~10.5%であり,代替法として適用可能であった.しかし,一部の試験機関ではSbの定量値が添加量よりも高かった.その一因として,検量線溶液中のSbがガラス器具に吸着したためと考えられた.そのため,Sbの試験を行う場合には,検量線溶液の濃度について細心の注意を払う必要があると考えられた.

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© 2015 公益社団法人 日本食品衛生学会
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