日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
Print ISSN : 0047-1801
ISSN-L : 0047-1801
主題I:大腸癌に対する化学療法の進歩と最近の話題
V.大腸癌に対する免疫チェックポイント阻害薬
室 圭
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 71 巻 10 号 p. 406-416

詳細
抄録

癌領域に免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が登場したことにより,現在,各癌種の治療体系は大きな変貌を遂げた.とくに悪性黒色腫や非小細胞肺癌では一次治療の標準治療を塗り替えるほどのパラダイムシフトが起きている.大腸癌を含むMSI-HもしくはdMMR固形腫瘍においても同様であり,ICIは極めて高い効果を示し,ICI単独療法では低毒性であり,効果とのバランスにおいて有望な治療法として確立した.治療に先立ちMSIもしくはdMMR検査を行う際には,事前に本検査がリンチ症候群のスクリーニングにもなりえる点を説明し,陽性であった場合には遺伝カウンセリングと確定診断のための遺伝学的検査(自費診療)への対応が必要となることを想定した体制整備が求められることに留意すべきである.

著者関連情報
© 2018 日本大腸肛門病学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top