日本臨床細胞学会雑誌
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甲状腺びまん性硬化型乳頭癌の細胞像
越川 卓高木 希廣川 満良
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2014 年 53 巻 6 号 p. 515-520

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抄録

甲状腺のびまん性硬化型乳頭癌は, 小児および若年の女性に多く, 両側または片側にびまん性の甲状腺腫大をきたし高頻度にリンパ節転移を認めるなどの特徴を有する甲状腺乳頭癌のサブタイプの一つである. びまん性のリンパ管侵襲を特徴とする腫瘍であり, 通常型に比べリンパ節転移や遠隔転移が多く予後も不良とされている. 組織学的には, 主としてリンパ管内に小乳頭状集塊を形成する腫瘍細胞が増殖し, 扁平上皮化生, 多数の砂粒体, 著明なリンパ球浸潤や線維化などを認めることが良く知られているが, 細胞像に関する詳細な報告は少ない. 細胞像についても, 定型的な乳頭癌細胞の他に多数のリンパ球や砂粒体および扁平上皮化生細胞を認める点が特徴とされているが, この他に充実性ボール様集塊, ハローボール (Hollow ball) 様集塊, 隔壁性細胞質内空胞や大型空胞などもしばしばみられる所見である. 本稿では, びまん性硬化型乳頭癌の細胞像に関する文献検索を行い, 本腫瘍の細胞像の特色について報告した.

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© 2014 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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