食品衛生学雑誌
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調査・資料
合成樹脂製器具・容器包装におけるカドミウムおよび鉛材質試験法の性能比較
六鹿 元雄阿部 智之阿部 裕石井 里枝伊藤 裕子大野 浩之大野 雄一郎尾崎 麻子柿原 芳輝金子 令子河村 葉子柴田 博関戸 晴子薗部 博則高坂 典子但馬 吉保田中 葵野村 千枝疋田 晃典松山 重倫村上 亮山口 未来和田 岳成渡辺 一成穐山 浩
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2014 年 55 巻 6 号 p. 269-278

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抄録

食品衛生法における合成樹脂製器具・容器包装のカドミウム(Cd)および鉛(Pb)材質試験について,公定法と各種代替法の性能を比較した.19機関が試験室間共同試験に参加し,3種のポリ塩化ビニル製ペレット中のCdおよびPbを定量した.公定法は,試料を灰化後,塩酸に溶解した溶液を水浴上で蒸発乾固し,原子吸光光度法(AAS)または誘導結合プラズマ発光強度測定法(ICP-OES)で測定する.その真度は86~95%,併行精度(RSDr)は3.1~9.4%,室間再現精度(RSDr)は8.6~22.1%であり,その性能は規格試験法として十分であった.ホットプレート上で蒸発乾固しAASおよびICP-OESで測定する方法は,公定法よりも真度とRSDrが劣っていたが,代替法として適用可能である.マイクロウェーブ分解法(MW法)による試験溶液の調製は公定法よりも性能がよく,代替法として十分に適用可能である.また,誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)法は測定法の代替法として適用可能であるが,試料を完全に灰化する必要がある.

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© 2014 公益社団法人 日本食品衛生学会
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